整体とリラクゼーションはどこが違うの?自分にあった施術を受けよう!
街を歩くと「整体」「リフレクソロジー」「リラクゼーション」など、どれもいわゆるマッサージをする店なのに、異なる肩書きをつけた看板を目にします。
単純に英語表記と日本語表記の違いでは?と考える方もいるかもしれません。
ですが類似の施術であっても、実は整体とリラクゼーションは施術を行う目的や求める効果が異なります。
そこで今回は、自分の症状にあった施術を選択できるように、整体とリラクゼーションの違いについて詳しく解説します。
整体とは?
整体とリラクゼーションの違いについて解説する前に、まずはそれぞれの特徴をチェックしておきましょう。
まずここでは、整体とは何かについて詳しく解説します。
整体の主な目的は、筋肉や骨格の凝りや歪みを矯正する、いわば体のメンテナンスにあります。
代表的な施術には、姿勢や背骨の歪みの解消を目的とした姿勢矯正や、最近はダイエット効果が期待できると人気が高い、骨盤の歪みの解消を目的としたが骨盤矯正などがあります。
現在整体に含まれる主な施術には、次のようなものがあります。
按摩(あんま)・マッサージ・指圧
肩こりや腰痛に対し、指だけではなく時には腕や足を使ってもむ、叩くことで患部にアプローチするのが按摩やマッサージです。
一方指圧は、指の力で患部に圧をかけることで症状の改善を目指す施術です。この3つの施術を行うためには、按摩マッサージ指圧師という資格の取得が必要です。
鍼灸(しんきゅう)
東洋医学では、人間の体には数多くの「ツボ」が存在するとされています。そのツボに対して、針やお灸でアプローチして不調の緩和を目指すのが鍼灸による治療です。
鍼灸治療は、国家資格所有者しか行うことができません。
カイロプラクティック
骨格にアプローチして、体のゆがみを矯正することで不調の改善を目指す、アメリカ発の施術です。
欧米の一部では国家資格に認定されていますが、日本では民間療法に属しています。
リラクゼーションとは?
整体が体の具体的部位の痛みやコリを整えるのが主な目的だとすると、ストレスの多い現代社会の生活の中で凝り固まった肉体や精神の緊張をほぐし、リラックスした状態に戻すことを目的として施術を行うのがリラクゼーションです。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、活発に活動している時には交感神経が優位に、そしてリラックスモードの時には副交感神経が優位に働きます。
しかし現代生活の中では不規則な食生活やストレスなどが要因となって2つの自律神経のバランスが崩れ、交感神経が優位になりがちです。
そこでさまざまなアプローチで筋肉を緩めることで心身の緊張をほぐし、自律神経のバランスを整えるのがリラクゼーションの目的です。
リラクゼーションは、医療行為ではありません。
そのためリラクゼーションの中で行われる施術を、「治療」と呼ぶことはできません。
そして施術を受ける人は患者ではなくあくまでお客様という扱いになり、健康保険は適用されません。
ただし、体の緊張をほぐす目的で体のバランスを整える、さらにはマッサージ的な施術を行うことも多いため、整体を含め、国家資格の有資格者が行う、いわば法律が定める意味での「マッサージ」を除いたものは広い意味では全てリラクゼーションと定義される場合も一部にはあります。
このように非常に定義の広いリラクゼーションですが、代表的な施術には次のようなものがあります。
アロママッサージ
香りで精神を鎮静させる効果があるとされるアロマオイルを使い、マッサージを行う施術です。
アロママッサージには、主に筋肉にアプローチして緊張を和らげることを目的としたものと、リンパにアプローチして老廃物の排出を促し、むくみなどの辛い症状を改善することを目的としたものがあります。
タイ式マッサージ
タイ式マッサージは施術者からマッサージを受けて体をほぐしてもらうだけではなく、施術の中にストレッチを用いるのが特徴です。
さらに通常のマッサージはハンドマッサージが中心なのに対し、タイ式マッサージでは肘や膝、さらには施術者が体の上に乗って足の裏で揉むといった手技もあります。
リフレクソロジー(足ツボマッサージ)
足の裏は「第2の心臓」とも呼ばれ、「反射区」と呼ばれる、体の各部位に呼応するとされるツボが集中しています。
その反射区を刺激する、足裏全体をもみほぐすのがリフレクソロジー(足ツボマッサージ)です。
足ツボマッサージと呼ばれることが多い「中国・台湾式」の場合、反射区をピンポイントで刺激するものが多く、時に痛みを伴うほど強い刺激を与えるのが特徴です。
一方リフレクソロジーと呼ばれる「英国式」は、優しくアプローチしながら足裏全体をもみほぐしていくのが特徴です。
ロミロミ
ロミロミはハワイに古くから伝わるヒーリング療法で、ハワイ語で「揉む」「押す」「マッサージする」という意味があります。
オイルを使い、施術者は指先だけではなく手のひらや腕などを使ってリズミカルに優しく体にアプローチしながら筋肉の緊張をほぐし、心身共にリラックスさせるのが目的です。
そして現地でのロミロミにはスピリチュアル的な要素も含まれており、施術者が触れることで良いエネルギーを与え、悪いエネルギーを浄化させることで心身のバランスを整えるという考え方が根底にあります。
整体とリラクゼーションや接骨などとの違い
整体は、筋肉や骨格の歪みを解消するといった直接的な効果の他にも、歪みが矯正されることで血流やリンパの流れが改善され、むくみや疲労回復といった効果も期待できます。
こうした効果は実はリラクゼーションも同様ですが、リラクゼーションはそれが主目的であるのに対し、整体ではあくまで歪みが解消することによる副次効果だという違いがあります。
整体と混同されやすいものに、「接骨」があります。
ただし体の歪みを整えることで体の不調を改善するのが目的の整体に対し、接骨は脱臼や捻挫など、具体的なケガの回復を促すのが施術の目的だという大きな違いがあります。
さらに整体は一部の施術を除き無資格で行うことができますが、接骨の看板を掲げるためには施術者が柔道整復師の資格を取得している必要があります。
逆に柔道整復師の資格を持つ施術者が、その経験と知識を活かして整体の看板を掲げて施術を提供することはできます。
交通事故でケガをした場合、整形外科では筋肉や骨には異常がないといわれたものの何となく不調だと行った場合、整体の看板を掲げる店では事故後1ヶ月以上経過した症状に対してのみ施術が行えるのに対し、整骨院では事故後1ヶ月未満でも施術を行うことができるなど、両者には細かい違いがあります。
ケース別:整体とリラクゼーションの使い分け
結論からいえば、体全体が何となく疲れていてゆっくり休みたい場合にはリラクゼーションが、そして腰痛や肩こりなど具体的に痛みや不調がある部位がある場合には整体が適しています。
そこで最後に整体を選択すべきか、リラクゼーションを受けるべきかを、ケース別に具体的に紹介します。
ケース1:交通事故にあって整形外科では問題ないと診断されたが首の違和感が消えない
こうしたケースでは、整体が適しています。ただし整体ではレントゲン撮影といった医療行為はできないので、上記の例のように整形外科を受診した上で通うと安心です。
ケース2:睡眠をとっても1日中なんとなく疲労感が抜けない
こうしたケースでは、リラクゼーションが適しています。睡眠をとっても疲労感が抜けない場合には、自律神経のバランスが崩れて睡眠の質が悪くなっていることが一因になっている場合もあります。
リラクゼーションを受けてバランスを整えることで熟睡できるようになり、疲れが取れやすくなることがあります。
ケース3:リモートワークで一日中座りっぱなしで肩こりがひどい
肩こりが軽症の場合には、リラクゼーションで筋肉をほぐすことで症状が軽減される場合もありますが、肩こりが酷くて頭痛がする、肩こりが慢性化しているといった場合には骨格矯正もできる整体が適しています。
まとめ
ひと口に体の不調と言っても、その症状は千差万別です。
整体とリラクゼーションの施術は似ている部分があるものの、得意とする分野など違いもあるので、施術の内容の違いをよく理解して、自分の体の症状にあった施術を選択することが大切です。